思い通りにならないから、人生は楽しい
南海にテスト生として入団したとき、夢に一歩近づいたと思った。しかし、あとで話を聞いてみると、球団は野村を戦力として見ておらず、練習でピッチャーの球を受けるブルペンキャッチャーとして獲ったのだと知った。野村は愕然としたが、これでは恥ずかしくて故郷に帰ることもできない。当時、南海ではテスト生から一軍に上がった選手はひとりもいなかったが、野村はそれを目指すことを決意した。「思いどおりにならないものを、努力や創意工夫で何とか思い通りにするのが、人生の喜びであり、価値である」。